カンフーや太極拳の健康効果を高められる、腰の使い方とは?
今日は、少し専門的な話をしようと思います。
中国武術では〝腰〟の使い方はかなり重要視されています。
長年の指導の中でも、その大切さをつくづくと感じています。
腰は、身体全体の使い方(身法*1)や、力の出し方、姿勢などの全てに関係しているのです。
正しく理解することで怪我の予防や、より良いカンフーの練習や、太極拳での健康効果が期待できると考えられます。
しかし困るのは、その使い方が先生や流派によって伝える内容は様々で、或る先生のところでは〝腰を入れる〟といい、ある先生のところでは〝股関節を捻る〟ということです。
また〝日本人と中国人の腰に対する感覚上の違いもある〟という一説もある位です。
そんなことはあるのか?腰と言ったら皆同じだろう、
本当にそうなのか、、、?どれか正しい基準なのか、自分自身も迷ってしまいます。
では、どうすれば?
判断をする為に、まずは〝腰〟の位置を確認しましょう。
下の図での側面(左図)から示したように、解剖学的には腰の位置は〝腰椎〟という部分になります。
この五つの椎骨がL1~L5まで連なって、腰椎を構成しています。
そして、更に下の図は正面から見た腰椎の位置です。
(これは大腰筋を説明するベージですが、分かりやすいためこの図を引用させて頂きました。)
この図で示したように、腰の位置は腰椎という5つの椎骨が連なって構成されているわけです。(周りには沢山の筋肉や、神経などが存在しますが、ここではその説明を割愛させて頂きます。)
これで或る国では、とか、或る先生は、とか、あるいは流派によって変わることはなく〝腰の位置〟というものがはっきり分かりました。
次に、中国武術の動きでは腰を捻って力を出すといいますが、果たして腰ではそれができるでしょうか。実は腰の可動域は5度~15度ぐらいしかなく、その範囲でしか捻れません。
捻りの動きに関しては、あまり得意ではないようです。
これで〝腰の位置と可動域〟のことが分かりました。
では〝中国武術〟でいう腰の意味とは何でしょう。
私はやはり、股関節の協力がないと腰の捻りは僅かしか動かないのでは、と思います。
つまり腰は股関節(骨盤)の上にあるので、まず「股関節」が動かないと腰もそこまで動かすことはできないでしょう。
よって〝中国武術でいう腰の動き〟とは、実は股関節を含めた腰の動きではないかと思っています。
そして、実際にやって見ると、かなり楽に力を出せることがわかります。
腰は武術において、力の伝達という重要な役割を果たしています。
その力の流れは「古典太極拳論」の中で、次のように述べられています。
『其根在脚,发于腿,主宰于腰,形于手指(中国語)』とあります。
簡単に訳すと、力はその元が足にあり、腿から発し、腰を中心として(そして股関節を回転して)、手の形(拳・掌)で出す、という意味です。
(出典:太極拳全書/650ページ/人民体育出版社2005/12)
ここで言う腰とは、私は股関節を含めた腰の動きのことだと解釈しています。
つまり〝股関節と腰の捻りによって生じたエネルギー、つまり力、または気の流れ〟を説いているのです。
どれぐらい捻るか、あるいは捻らないかは、先生や拳法の種類、流派などによって色々あるとは思いますが、基本的には腰の位置や機能は変わることはないと思います。
これを中心に考えて行くと、色々な問題が解決されるのではないでしょうか。
太極拳においては、陳式(ちんしき)太極拳*2は捻りの動作が多く、特に股関節を沢山動かします。
あくまでも個人の見解ですが、太極拳をされている方、またはこれから練習しようとされる方のご参考になれば嬉しいです。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
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