太極拳とカンフーのブログ『天天練功夫』

ある指導者の、あれこれ武道に関する日記です

太極拳教室に通う目的は?

 

太極拳教室での練習風景
時間とお金を使って、太極拳やカンフー(中国武術)の教室に通いますが、何の目的のためでしょうか。
一般的に〝健康維持の為〟というのが一番多いのではないでしょうか。
その他に、技を極めて競技大会に出場したい、実戦の練習をしたいという
こともあります。
では、競技大会に出る為というのと、健康維持の目的の為というのは、双方違うことなのでしょうか。

 私は違うことだと思います。
前にも書いたように、競技大会というのは競技のルールに従って、優劣を決めるということです。

当然、練習もそのルールに沿った内容でなければ、勝ち目はないのです。
現在の日本で行われている太極拳競技の形式は、採点方式です。
採点方式では選手の動き(套路:型)を見て、太極拳の競技ルールに従って点数をあげて評価します。
例えば、太極拳の競技ルールでは、足を水平に上げないと減点されます。

その他に足の位置とか技の使い方とか、時間などなど、沢山あります。
つまり高い点数を得るためには、足を高く上げる為の練習をしなければなりません。

足を無理なく上げられる人は別に問題はないのですが、上げられない人はどうでしょう。

人によっていろいろあると思いますが、その目的は健康維持ではなく、足を高く上げるということです。
ですので競技大会で優勝したい場合は、苦しい練習を覚悟しなければなりません。
勿論、苦しい練習を楽しんでする人もいますが、無理をして怪我をすることも多いのではないでしょうか。
このようにルールがある以上は基準があるので、価値観はどうしても狭くなりますよね。それ以外のやり方では、ダメだということになってしまいます。

競技大会の性質上、仕方ありません。
だからといって、競技大会を否定しているわけではありません。
頑張りたい人は是非、力を発揮して頑張って欲しいのです。
ですが大事なことは、自分の体力などの状況に合わせて選択をして頂きたいということです。
競技のための練習でも健康にはなりますが、人と競い合うのでそれ以上の成果を求められると思います。例えば健康維持というレベルでの練習だけでは、チャンピオンになることは難しいと思います。

 

では、健康維持の場合はどうでしょうか。
健康維持という目的では、競技のルールではなく自分の体の状態に合わせることが基準になります。

先の例でいうと、足を高く上げられるかどうかより、足を上げるという機能を衰えないように維持していくことです。
そして価値観も広くなり、色々なやり方や考え方ができますし、苦しい練習もないのでもっと自由にできるのです。
つまり健康維持では、パフォーマンスを高めるのではなく、身体の機能を改善して維持していくことが大事になってきます。


太極拳や、カンフーは中国古来の武術であって、健康の為の宝庫だと思います。
これからも少しずつ、色々なことを紹介していきたいと思っております。
そして、太極拳やカンフーの練習をもっと自由に楽しんでいけたら良いですね。

健康の為の太極拳の指導
(この写真はコロナ感染症が流行する前の、京都西陣教室での太極拳レッスンの様子です)