大昔に日本へ来て、太極拳とカンフーを教えています ~後編
徐言偉(ジョ・ゲンイ)と申します。
私は1990年に中国から日本へやって来て、太極拳とカンフー(中国武術)を教えています。
今日は、先日のプロフィールの続きになります。
中国に生まれて中国武術のトレーニングを受け、北京体育大学に入学したことまで書きました。
(前回の分は下になります⇩)
良かったら、読んでください。
(続き)
中国の北京体育大学で2年間履修したその後、日本へ何度も遠征に行っていたこともあり、日本が好きになっていました。
またその頃から留学を考えていて、どうせなら早くに日本へ行きたいと思って決意し、1990年に渡日、まずは日本語を習うため日本語学校へ入りました。
語学は元々好きだったので集中して勉強でき、日本語一級資格を取得しました。
今でこそ留学生といっても珍しくないと思いますが、この時代は大阪体育大学では外国からのスポーツ留学生は非常に少なく、中国人は私を入れて1、2人で、後はアメリカ人が1人だったのを覚えています。また留学生としての編入学は、私が初めてのケースだったそうです。
大阪体育大学では、スポーツ医学・スポーツバイオメカニクスなどを学び、他に実技として海洋スポーツやバレーボール・剣道・柔道などを履修しました。
ここで特に印象に残っている実技は、日本舞踊でした。
日本舞踊は、腰を低く落として動くという武術との共通点があり、割とすんなり出来て得意だったのを覚えています。
そして、金子公宥(まさひろ)先生*1のゼミに入りました。
金子先生は、当時珍しかったスポーツバイオメカニクス理論をいち早くアメリカで修得した方で専門性が高く、とても興味深い講義をして下さいました。
先生がよく
「誰もが一つは、自慢できることを持ちなさい。」
「私はこの本を書きましたよ、凄いでしょ!」
と言いながら、自慢げに笑っておられたのを覚えています。
このことは妙に心に響き印象に残っていますが、今でも尊敬する先生のお一人です。
(随分ご無沙汰していますが、お元気にご活躍されているご様子です。)
そして大学生活をそれなりにエンジョイして卒業し、就職することになりましたが、幼い頃からずっと武術ばかりやってきたので別のことがしたくて、貿易関係の仕事に就きました。日本の会社に入って働くことは、私にとって大変勉強になりました。
ですが、自分を活かせるものや強味は何かと考え直す時期があり、やはり武術しかないと思い会社を辞め、関西を中心に『太極拳とカンフー(中国武術)教室』を始めました。
私にとって、最初は自分の意志で始めたわけではない中国武術でしたが、そこから得たことは山の様に沢山あり、人生そのものになっていましたから、、、
(客観的に見ると当然であることも、そこにずっと居ると分からなくなるものです。)
また、武術の練習は厳しく辛いものでしたが、忍耐力や自己コントロール力、集中力といったものを養ってくれ、中年になった今でも体力もあり健康で過ごせていることも、その恩恵の一つです。
現在は5歳の幼児から80歳代のご高齢の方まで幅広く指導を行い、表演の舞台や試合といったイベントにも精力的に参加しています(最近はコロナ渦の為、イベント類は中断中です)。
人様の健康のお役に立てるより良いレッスンとは、どんなものなのか、まだまだではありますがやっと自信を持って行えるようになり、気が付いたら指導歴は20年以上になりました。
新たな試みとして5月からオンライン・ライブレッスンも始めて、書きたいと思いつつ滞っていたブログも、文章で誰かの役に立つかも知れない、コロナで引き籠っている場合ではない!と思い、セッセと書き始めたところです。
(▲2019年の京都フェスティバルに出場された、研究会の生徒の皆さまと。)
また、資格はこんなところです⇩
中国武術1級武士(中国国家資格)、
徐其成中国武術研究会代表、
国体ジュニアコーチ、国体長拳コーチ、
一般健康指導士、
日本語1級資格取得者、
徐其成の技〝少林追風刀(無形文化財)〟正式継承者
今現在の姿(宣材写真)です⇩
公式ホームページもあります。www.jyokanfu.com
また、父・徐其成(ジョキセイ)が改変した刀術の〝少林追風刀:ショウリンツイフウトウ〟の跡を継ぎましたが、少林追風刀は2012年に中国の無形文化財に認定されています。
(俳優ジェット・リー*2にも伝授され、映画『少林寺』の中の表演シーンで行っていたことでも有名です。)
父が若い時の演武の映像が残っておりますので、UPしておきます。
良ければご覧下さい⇩
(他の方のチャンネルで掲載してくれています:映像元「Alexander Tse」氏)
そして改めて今日ここに、私が日本に来て何よりも良かったと思うことがあります。
海外生活を経験された方には共通することかも知れませんが、
自国を離れ海外に出たことで、物事を見る上で狭い範疇に捕らわれず、自由な考えや発想を持つことができた、ということです。
日本の生活文化に触れ、人との交流を通して、改めて自分のあり方や生き方を深く考えさせられています。
それは太極拳やカンフーに対する(延いては中国の文化に対する)捉え方にも良い影響を及ぼし、貴重な財産となっています。
また今のこのコロナ禍も、忙しい日常から一旦立ち止まり仕事や生活を見つめ直すといった意味で、視野を広げてくれる一つのきっかけとなっています。
社会においても個人においても、何時の時代も様々なことが起こりますが、こういった局面もないと私のことですから、ともすれば傲慢になったろうなと思ったりもするので、色々と大変ではあっても全てがマイナスではないのだと実感しています。
視野を広く保ち中国武術の文化を広めることが出来るということ、それが皆さまの心身の健康維持の一役を担っていること、そして多くの人に支えられて今があるということに感謝して、、、また頑張って太極拳やカンフーを教えていきます。
決意を新たにして、この辺でいい加減終わります。
ここまでかなり長くなりました。
個人的な話を最後までお読み頂いて、本当にありがとうございました。
非常感謝!▲コロナ前の故郷、中国瀋陽での写真です。