『協調運動能力』って何? ❝太極拳やカンフー❞で高めることが出来る!?
こんにちは。
大型台風が近づいていますが、皆さまの安全を心よりお祈りしています。
そして、しっかりと備えることを心掛けていきたいものです。
今日は久しぶりに、中国武術に関する少し専門的なお話です。
〝中国武術〟は、中国語では〝功夫(gōng fu):カンフー〟と呼びますので、ここではそう記します。
太極拳はカンフー中の一種の拳法であり、ゆっくりとした動きのものとなりますが、早い動作で行う螳螂拳(とうろうけん)や南拳(なんけん)、形意拳(けいいけん)等々、カンフーには様々な種類の拳法があります。
そして、私の教室では、ゆっくりとした動きの拳法である太極拳と、速い動きの拳法である螳螂拳などを分かり易く区別する為、後者をカンフーと称して太極拳と区別して運動プログラムに用いています。
分かり易く、ここでもそのように分けて用いたいと思います。
【以前にもカンフーの種類について書いています(また順次書いていく予定です)▼】
と、前置きが長くなりましたが、
今回は太極拳、またはカンフーにおける『協調運動』について考えてみます。
協調運動という言葉は『協調運動障害』のリハビリテーションにおいてよく使われているようです。
協調運動とは、手と手、手と目、足と手などの個別の動きを一緒に行う運動です。
例えば、私たちがキャッチボールをする時、ボールを目で追いながらボールをキャッチするという動作を同時にしていますよね。
他にも、縄跳びをする時、ジャンプする動作と、縄を回す動作を同時にしなくてはなりません。このような運動を協調運動と言います。
またその概念は、「協調運動とは何か」という論文には次のように述べられています。
「協調運動」は、相互に調整を保って活動する複数の筋によって遂行される滑らかで正確な運動である。
協調運動に小脳が重要な役割を果たしていることは、動物の破壊実験などから推測されていた。
注目すべきところは〝小脳の働き〟により、運動中にバランスの調整、姿勢の保持や、全身運動の微調整、運動のタイミングが行われている、ということです。
上述した機能が衰えると、全身運動の協調が取れず、バランスが崩れて転倒をしたり、歩きにくい、細かい動きが出来ないといったリスクが出てきます。
太極拳、またはカンフーの運動では技(動作)を連続的に行うために、全身のあらゆる筋肉や関節、神経などを使って、上記のような動きを絶えず調整する動作を行います。
又こうして協調し合わなければ、技を完成することができません。
よって、続けてトレーニングを行うことで、協調運動能力が改善され・向上するのではないかと考えられます。
❝改善される❞と言っても、私の考えですが、その範囲はリハビリというレベルのものではなく、あくまでも全身運動の機能が衰えていた上で、❝運動すれば改善することが期待できる❞というレベルです。
ではでは、そうしたことを踏まえた上で、太極拳やカンフーの運動とは一体どんな感じでしょうか。少し細かく見て行きます。
太極拳、またはカンフーでは〝型〟のことを〝套路(とうろ)〟と言います。
この套路を構成しているのは個々の技(動作)の連続であり、同時に沢山の関節や筋肉を使う運動となります。
この連続動作では同じ動作を繰り返すだけではなく、多くの違った技(動作)が入ってきます。
例えば、一般的によく知られている〝二十四式太極拳〟はそれにあたります。
つまり24個の技があるので、二十四式と呼ぶようになったわけです。
(ちなみに、二十四式太極拳は24個の動作ではなく、24個の❝技❞です。動作の数では24個以上あります。)
そして、カンフーでは例えば〝初級長拳(しょきゅうちょうけん)〟の場合は36個の技があります。
長拳にはその他に武器もあります。
武器を使うとなると更に技は増え、高度な協調性が求められます。
また失敗をすると、自分を傷つけることにもなりかねません。
その為、これらを上手く行うには、やはり全身の筋肉などの運動器官が協調し合わなければなりません。
例えば、太極拳やカンフーの技の順番を覚える時に、同時に拳でパンチを打ったり、手の平で押したり、脚で蹴ったりする連続動作を行います。
そしてこの時に目も脳も動かしている状態ですので、協調運動となります。
そして特に〝太極拳〟では、ゆっくりとした均一の速度で動作を行う為、協調運動を行っているという実感が更にはっきりと感じ取れるのです。
同時に力の流れ(氣の流れ)も感じ取れます。
私の教室での、生徒さんの例を挙げてみます。
ご高齢の方が太極拳の練習を何か月か続けているうちに、転倒をしにくくなった、又は転倒の寸前に止められる様になった、ということがあります。
これは小脳の働きにより感覚機能が改善され、身体全体の筋力も強化されて、不安定だったバランスが良くなったということで、協調運動能力が向上したといえます。
又、まだ小さいお子さんが、手脚と体全体が協力し合って一つの技を完成させるカンフーの練習をすることで、最初はバラバラでまとまらなかった運動動作がスムーズに出来るようになったり、難しい技を覚えることが出来るようになった、ということがあります。
もちろん人によって差異はあるとしても、
こうしたことから ❝太極拳やカンフーの運動を続けることは、特に『協調運動能力』の改善や向上に繋がり❞、延いては身体と心の健康にも貢献できるのでは、と考えています。
太極拳やカンフーの練習を通して、生徒さんが元気になり生き生きしてくる様子を目にすると、指導している側としても嬉しい気持ちで一杯になります。
また改めて、日々の指導を頑張っていきたいものです。
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それでは、最後までお読み頂きまして、本当にありがとうございました。
非常感謝!!