太極拳とカンフーのブログ『天天練功夫』

ある指導者の、あれこれ武道に関する日記です

子ども達が『自己肯定感』を上げる為の、カンフーの練習とは?

子ども達の自己肯定感を上げるカンフーの練習とは?
こんにちは。

私は京都で大人と子どもを対象に、太極拳とカンフーを教えている徐言偉と申します。

 今日はカンフーの練習を通して得られる、子どもの『自己肯定感』について考えてみたいと思います。

私はカウンセラーの先生でも何でもないので、あまり偉そうなことは言えないのですが、今までの教室での経験や自分自身、周りの人々を振り返って得たことを元に述べてみたいと思います。

 

 私の教室では、主に幼児や小学生を対象にカンフー(中国武術)を教えています。

教室の数は多くはありませんが、子どもに指導を行い始めて約10年になります。近年は出張指導など、中学生のクラブや小学校にも教えに行っています。

 

そして教室に通う子ども達は、各々に目的があり通ってくれているわけですが、指導する側から考えた時、カンフーがもちろん上達して欲しいという目的以外にも、これから大人になるに従い社会に出て自律して生きて行くための〝ヒント〟といったものを教室から少しでも得て欲しいと思い、子どもに向き合っています。

そしてそこでは、練習等様々なことに臨んでいく中において生きて行く上で大切な『自己肯定感』を高めて行くということが鍵になってくると感じています。

自己肯定感とは、徐言偉ブログ

 

 ところで改めて、『自己肯定感』って一体何でしょうね。

 

自己肯定感とは、ありのままの自分を認めること。

【7日間で自己肯定感をあげる方法:根本裕幸著】 

これは心理学に関心がある私の家族が持っている、心理カウンセラーの根本裕幸先生の著書からの引用ですが、私も読んでみて自分や他者のことを理解する上で参考になった本です。学問というよりワークが中心の読みやすい本ではありますが、深い知識と洞察、経験のもとに様々なことが分かり易く書かれています。

また、根本先生はこうも言っておられます。

「自己肯定感」と「自分軸で考える」は車の両輪である。

「他人軸で生きる」とは、他人の考えや価値観を基準に自分の言動を決めること。価値観や考えというのは、十人十色で全く同じ考えの人は存在しない。他人軸で生きていると、自分の考えや行動を他人の様々な価値観に合わせることになり振り回され疲弊する。

「自分軸で生きる」とは、自分の心の声に従って生きるということ。

自分らしく生きることは、自分の心を犠牲にしない生き方。

自分らしく生きるためには、自己肯定感を高めることと、他人軸ではなく自分軸で考えて行動することが欠かせない。

 

自己肯定感を高めるとは、突き詰めていくと、自分自身を深く理解していくこと。

他人と関わりながら、傷つくことや落ち込むことがあっても、その都度自分自身の理解を深め、前に進んでいくこと。

自己肯定感をあげると、心に余裕ができ、自分に自信が持てるようになる。

 

と、述べておられます。

私自身は割と自分の意見があり頑固な方なので、自己肯定感は生来強いのかなと感じていますが(中国人気質という噂も?笑)、

この本を購入した家族はどちらかというと周りの目を気にする方だと(自分では)主張しているので「ごもっとも」と思ったそうです。

本の中では、赤ちゃんから大人に成長する過程での体験が、自己肯定感を左右するということが書かれています。

また、この本は❝7日間で自己肯定感をあげる方法❞というタイトルですが、私は7日間でそのヒントが得られるものと感じました。実際に本の中にも❝この7日間が自分らしく生きる始まりになることを願っている❞と書かれています。

(ちなみに、根本先生は3か月先まで予約が取れない人気カウンセラーのようです。)

 

自己肯定感をあげるとは?徐言偉ブログ

ではではこうしたことを踏まえて、〝カンフーの練習〟を通して得られる自己肯定感とは、どんなことがあるのでしょうか?

 

簡単に述べてみると、、、

  • 練習を繰り返してカンフーの型が上手くなることで、自信や自己肯定感が得られる
  • 練習で身体が丈夫になり心が安定することで、余裕が出来て自信が得られる
  • 友人と認め合って(仲良く)練習することで、得られる
  • 発表会や様々なイベントに出る経験を通して得られる
  • 先生や親に褒めてもらえることで得られる
  • 試合に出て良い成績を取ることで得られる

といった所でしょうか。

 

また、もう少し考えてみると、

  • 良い所と同じように、出来ないことやダメな所もまずは認めることで、自分のことを知るという経験をし、基礎となる自己肯定感が得られる
  • 他者と比べるのではなく、今までの自分と比べたらどれ位上達したかということを考えることで、肯定感が得られる
  • 仮に周りは認めてくれなかったとしても、自分しか知らない自分の努力を認めることで得られる
  • 大人や周りの都合で成長の具合を図られるのではなく、本人が感じて自分の成長を評価することで自信が得られる

と、こんな感じだと思います。

(そして何もこれはカンフーの練習を通してだけ得られるものではありませんが、スポーツというのは目に見えて成長が分かり易いものであると思います。)

自己肯定感を上げる練習、徐言偉カンフーブログ

 

また、これは決して「努力しないで良い」言っているわけでもありません

あくまでバランスの問題だと思います。

上達といっても一定のレベルというものもあるので、ただやみくもに自分の中だけでの自己満足だけで終われば良いものではないのも事実です。

その為、子ども達には目標の一つとして、級の取得のための試験や、各々のレベルに合わせて試合に出場することにも挑戦してもらっています。

社会で認められる為に、客観的に自分を見て努力するということもやはり大切なことで、切磋琢磨する中で他者の良い所は見習い、自分の欠点を補っていくことも必要だからです。

自己肯定感をあげるカンフーの練習とは?


但し、度合いといったものがあると思います。

ここで要注意なのは、子どもの内はそれぞれに能力や成長の度合いが違うということです。子どもはまだまだ未熟な存在なので、外からだけの価値観で計ってしまうと、折角伸び掛けた良い芽を積んでしまうといったことも起こり兼ねません。

 

また上達をしたとしても価値観を下手に押し付けてしまうと、他者を見下してしまうという ❝優越感❞ を過度に植え付けてしまうといったことも起きてしまうこともあります。

優越感とは、いつも誰かと比べて自己否定をする ❝劣等感❞ の表(又は裏)の顔でもあり、それでは結局は自己肯定には至らなくなってしまいます。

人間ですから多少あるのは仕方ないとは思いますが、

これがですね、周りを見ていると結構「大いにあるな~」と感じて、「しんどそうだな~」と思うんです(優越感⤴いえいえ違います💦)。

 

また、マウント合戦となっていては、これはスポーツマンシップに反することでもありますよね。本来のスポーツマンシップとは、お互いの健闘や頑張りを認め合うことだからです。

自分軸を上げるとは?


 決して努力しないままで『自己肯定感』を高めて欲しいというわけではなく、上手くなるために努力はするけれど、でも出来なかったことも認めて、

〝自分で考えて〟自分のをもって努力を評価して、なぜ上手くいったのか又はそうでなかったのかを分析する力をつけて、また前を向いて歩んで行って欲しい、

❝やらされる❞とかではなく、〝主体性〟を持って行動していって欲しい、というわけです。

またそれが〝自分軸〟ということでもあり、生きて行く上で大切な事となるものだと思います。

 

そして、カンフーの練習に上記のことを踏まえて、理念を強化することにしました。

 

  • 一人一人の子どもに関心を向け、各々の個性や能力に寄り添った指導を心掛ける
  • 純粋に身体を動かす楽しさ、カンフーという運動の面白さを知ってもらう
  • 子どもの内は基本的に遊びが仕事、楽しく遊びながら上達を目指す
  • 苦しいことを苦しく感じさないような、好奇心がわく練習方法を取り入れて、主体性を持って上達してもらう
  • 上達する為のコツや方法を分かり易く伝え、理解してもらう(でも個人によって理解の速度は違う為、各々に合わせる)
  • 諦めずに練習を繰り返すことで、誰でも必ず上達するということを知ってもらう(しかし上達の度合いはそれぞれに違うので、他の子どもと比べるのではなく、その子の以前の部分と比べて上達した所を認める)
  • 練習以外のマナーなど、良い事と悪い事の道理をしっかりと伝える(叱らないといけない時には叱る)
  • 頑張ったことに関して、褒めるべき時にはしっかり褒めて認める(結果だけではなく、過程や努力を誉める)
  • 子ども達同志で教え合う機会を作る(教えることも上達に繋がり、教わる方も素直な姿勢が身に付く)
  • 練習を通して自分で感じたことを、ノートに書いてもらう。そしてそのことを否定せずにまずは認めてから、出来た所と出来ていない所を理性的に伝え、客観的に考えてもらうようにする(これはノートでのやり取りだけでなくその都度伝える)
  • レベルに合わせて試合や級の試験に挑戦することで、切磋琢磨し、頑張る気持ちを持ってもらう(しかし試合の為の厳しい練習ばかり、そこに合わせた練習ばかりを目指さない)
  • 発表会などのイベントに参加してもらい、人前に出て演武をするなど、様々な経験の中で自信をつけてもらう機会を設ける(コロナ現在は中断中、またいつの日か)

子どもの『自己肯定感・自分軸』を高める為のカンフーの練習とは

これらはまだまだ試行錯誤を繰り返していますので、実施していく中で付け足したり見直したりすることもあると思いますが〝本当の意味で子どもを大切にする〟という姿勢を、常に心掛けていきたいと考えています。

またそうした想いが伝わることで、子ども自身の自己肯定感といったものが自然と高まって行くのではないかとも思いますし、何時伝わるのかはそれこそ各々に違うでしょうが、そこはゆったりと構えて臨んでいきたいものです。

その為には指導者側も常に自分を磨いて、省みて、自律して励んでいかなければいけませんね。子ども達を通して、こちらも〝教えられ育まれている〟ということを感じます。

子ども達が自己肯定できるカンフーの練習とは?

 そして最近、以前より子ども達が活き活きと練習が出来るようになって来たように感じています。

全身を使って〝身体を動かす楽しさ〟といったものを表現してくれています。それを見ていてこちらも嬉しくなり、共に充実した時間を過ごせることに感謝しています。

 

 

長くなりました。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

ご意見などがありましたら参考にしたく思いますので、コメント等頂けると嬉しいです。

 それでは、謝々謝々!

自己肯定感をあげるとは?徐言偉ブログ