太極拳とカンフーのブログ『天天練功夫』

ある指導者の、あれこれ武道に関する日記です

『教育とおしつけ』

「教育とおしつけ」
 
教育とおしつけは、紙一重だといつも感じます。
研究会では、子ども達に中国武術というスポーツを通して身体を養う中で、色々な経験をして感性を磨いて欲しいと思っています。
 
子どもはそれぞれに個性が違い、心と体の成長のペースも様々です。
また取り巻く環境も各々違うので、こうしたら伸びるこうすれば良いといった教科書はあってないようなものです。
例えば目に見えて成果の出る子と、そうでない子がいるのは自然なことで、こちらの思うようにいかないのが当たり前です。
ですから各性質を見抜き、そこにあった対応を行うのが指導側の責任となるわけですが、うっかり客観的な視点を見落としてしまうと、おしつけの教育となる危うさをはらんでしまうように感じます。
熱意は大事ですが一方的になるといつの間にか成果主義に陥ってしまい、両者の心が疲弊してしまうことがあるように感じるのです。
イメージ 1
こちらが思うように育てることよりも、自ら物事を考えて主体的に行動できるようになること、様々な体験の中で色んな自分を発見し多角的な視点を養うことを、大切にしたいと思っています。
そしてある程度導いた後は放牧して見守ることも大切で、例えその中で転んで傷つきようと失敗しようと、それは自分を知っていく上で貴重な経験になる必要なことだと感じます。
そしてその場合は如何にフォローするかが大人の役目となり、常に思いを込めて向き合うことの重要性を感じます。
イメージ 2
これは一見ゆうちょうな指導に見えるかも知れませんが、インスタントに結果を求めるのではなく、子どもの自尊心や主体性を伸ばすために、こちらも自身を省みて寄り添い続けるという努力と忍耐が必要で、両者の信頼関係と私達大人が成熟した精神がないとできない、あんがい厳しいことなのかも知れません。
そこにただ育てる為に教えるということではなく、教えを育むということの難しさと面白さがあるのではないでしょうか。
押しつけではなく、背中を上手く押していけますように。
指導する立場のこちらも、子ども達に教えられ育まれているというわけです。
イメージ 4
教室に通ってくれる時間は成長の過程ではほんのわずかな間ですが、その一端を担っていることを自覚して、これからもじっくりと皆と向き合っていきたいものです。
イメージ 3